| 選挙はアメリカだけじゃない:豪州の首相選挙('04 10月) | シドニー滞在記 ホームへもどる |
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日本にいるとどうしてもアメリカの大統領選挙しか話題に上りませんが、ここオーストラリアでもそれに先駆けて10月9日、首相選挙の投票が行われました。日本ではほとんど取り上げられていない豪州の首相選挙ですが、シドニーでは連日、新聞やTVニュースのトップは選挙の話題で持ちきりでした。
オーストラリアでは、国のトップは日本と同じ Prime Minister (総理大臣=首相)と呼ばれます。アメリカの大統領制とは違うのですが、選挙の形式は国民一人一人が投票する直接投票です。 だからなのでしょうか、各党候補(現職 VS 新人1名)はテレビ、新聞、ラジオ、あらゆるメディアを使って選挙戦を繰り広げます。自分が所属する党派の政策主張にはあまり力を入れているようには見えず、とにかく相手を名指しでボロクソにけなします。 これは投票権がない筆者にも、見ていて非常に面白いものがあります。 あるTVコマーシャルからのひとコマです。 新人の挑戦者、レイサム(Mark Latham) 候補率いる Labor Party(労働党)のコマーシャルです。メディケア(医療保険)を大幅に削減しようとしていた現職ハワード候補の政策を、病院でのオークション風景として強烈に皮肉っています。 ある病院の待合室にて・・・ 看護婦さん:「次の方、どうぞ。 ・・・・・・じゃ、まず60ドルから行ってみましょう。」 4、5人の患者が手を挙げる 看護婦さん:「お、では70ドルでどうですか。まだいけますね、80・・・85ドル、いや、90ドル!」 患者が一人に絞られる 看護婦さん:「どなたか、100ドルで勝負しませんか・・・!?」 ナレーター:「ハワード候補と自由党は、メディケア(医療保険)を潰そうとしています。労働党は国民の医療を守ります。」 ところが、このコマーシャルが流れてから、現職のハワード候補は医療関連の予算を増やす公約をしました。筆者が一番好きだったコマーシャルがそれ以降見られなくなってしまい、ちょっと残念です。挑戦者のレイサム陣営は医療面や教育問題に力を入れているのが「売り」だったのに、これで政策面では現職が若干リードしたようです。 対する現職ハワード(John Haward)候補率いる、自由党与党連合 (Liberal Party)のコマーシャルは、名指しでコテンパンにけなしてます。 ナレーター(字幕スーパーつき):「Mark 「彼は、 ・予算管理に失敗 ・支出のコントロールができない ・貯金もままならない ・借り入れも制限できない」 ナレーター:「もしもMark Latham が地域予算の管理に失敗したら、どうやってオーストラリアの8兆ドル経済を支えられますか? 1996年から8年間も首相の座に君臨しているハワード候補(65歳)にとってみれば、年齢も若く労働党の党首になってから僅か数ヶ月という若輩のレイサム候補(43歳)を初心者呼ばわりするのも当然と言えば当然かもしれません。 筆者もすべてのコマーシャルを見ているわけではありませんが、現職のハワード候補のほうが、どちらかというとえげつないコマーシャルを流しているように思えます。 今日聞いたラジオのコマーシャルでも、こんな感じです。 挑戦者・レイサム陣営のCM: 「景気景気って言ったって、どっちの党が勝つにしたって銀行の金利は政府が決めるもんじゃない(*)んだから景気と選挙は関係ないよね。」 (*)これは先日、現職のハワード候補が過去の政権と景気との関係を指摘して、「労働党政権時代はいつも金利が高かった」と、ふっかけたのに対し、レイサム候補が猛反発、「労働党は低金利を維持します」と言ってしまったことに起因します。本当のところは、金利は銀行が決めるので、これはハワード陣営の作戦だったのかもしれません。さすが現職だけあって老獪といった感じですね。 現職・ハワード陣営のCM: 「レイサムがこれから国の経済を担当するって?へえ〜〜 Good luck!」 (直訳では"Good luck" は、「幸運を」ですが、ここでは「やれるもんならやってみろ」くらいのニュアンスがこめられています。) まさに仁義無き戦い。 でも、これを続けていくと、双方が公約を付け足したりするので、実は選挙期間が長いほど国民にとっては良い政治になるのかも知れません。
さて、CMで悪口の言い合いしているだけではなく、アメリカの大統領選同様、2人の候補はテレビ討論で直接対決もしました。 しかし、逆にそれが選挙でマイナス点になっていないのは幸いなところでしょう。与党が強調するだけあって、現在のところオーストラリアの経済は絶好調。失業率も低くて特に目立った失策がないハワード政権は、軍事問題でも経済問題でも、ブッシュ政権とはずいぶん違います。テレビ討論が挑戦者有利に働く以上の問題がアメリカにはあると思います。
何の選挙かにもよるのでしょうが、日本の選挙の有効投票率ってだいたいどのくらいなんでしょう? たかが1票、自分ひとりくらい参加しなくても、大勢には影響しない。だいいち、どの候補がどんな政策を挙げているのかも知らないし・・・。筆者自身、そんな気持ちで投票に行かなかったこともあります。でも、本当はただ単に調べることすら面倒だっただけなのかもしれません。そんな程度では政治の批判なんかできませんね。 日本では「面倒だから投票に行かない」で済みますが、オーストラリアでは投票に行かない人には最高$50の罰金が科せられます。しかも、その上さらに$20の手数料まで取られます。罰金の上さらに手数料とはいかにもオーストラリアっぽいですね。まるでスピード違反で捕まえて、パトカーのガソリン代まで請求するようなもんです。本当に全額払う人はいるんでしょうか? というわけで、罰金を取りにきた係員とモメて面倒なことになるくらいなら、何でもいいから選挙に行きましょう、というのが本当の狙いなんでしょうね。少なくともそう信じたいものです。 ちなみに筆者は現在永住権を持っていないので、投票はしたくてもできないのです。もちろん、そういう人は事前に申告しておけば罰金を払う必要はありません。選挙の2,3ヶ月前に調査票が郵便で送られてくるので、それにチェックして送り返せばOKです。
実は選挙当日、筆者はめったにない海外出張をしていて国民的行事のムードを完全につかみ損ねました。ボランティア特派員を目指す者としては非常に残念な結果です。 選挙翌日の日曜日、アパートに帰って管理人さんに開口一番、"How was the election? (選挙どうだった?)" "Oh man, it's the same! Howard!! It was time for change! (ま〜〜たハワードだよ。そろそろ代わっても良いのに!)" というわけで、結果は現職のジョン・ハワード氏、続投です。おめでとうございま〜す・・・かどうかは分かりませんが、上述のにわか評論でも書いた通り、国民は改革よりも安定した豪州経済を望んでいるようです。改革も経済もイマイチな某国も是非がんばってもらいたいものです。 日本語のインターネットニュースなどでは「現職・圧勝」という見出しになっていましたが、確かに議席数を見れば、下院(150議席)のうち自由党(ハワード)71、労働党(レイサム)56、上院(76議席)のうち連立与党38、労働党28ですから、圧勝といえば圧勝なのでしょう。選挙前の雰囲気的には互角の戦いと思って見ていただけに、結果だけを数字で見ると若干寂しいものがあります。 ところで、シドニーのあるニューサウスウェールズ州の有効投票率は76.87%。一番高いタスマニア州でも81.74%ですから、あんまり高くは思えないですね。これには白票などの無効票も含めてありますから、純粋に投票に足を運んだ人の数字です。罰金まで導入しても、5人中1人は無関心なのですね。首相選挙なのに・・・。案外罰金がなければ投票率は半分以下になるのかも知れません。 |
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