サマータイムブルース (夏時間の話) シドニー滞在記 ホームへもどる 

ご存知、シドニーにはサマータイム(夏時間)があります。オーストラリアではデイライト・セービング(Daylight Saving)と呼ぶのが一般的です。冬(4月〜11月)には日本との時差は+1時間ですが、夏になると時計を1時間進めて日本時間+2時間になります。

夏時間は例年10月の最終日曜日に始まり、3月の最終日曜日で終わります。
詳しい日付はこちらのリンクで確認してください。

実際のところは・・・?

さて、導入が検討されているというウワサの日本では賛否両論のサマータイムですが、シドニーで夏時間から冬時間またはその逆の切り替わりを経験すると、やはり現在の日本では味わえないカルチャーショックに出会えます。

まず、パソコンですが、これはご存知の方も多いように、タイムゾーンをシドニーに設定しておくだけで、自動的に正しい時刻に切り替わります。何気ないことですが、これは本当にすごいことです。このホームページの時計(トップページの右上にあります)も、自動的に切り替わります。さすがに、電子レンジの内臓時計や自宅の時計などは当たり前ですが自分で調整しなくてはなりません。これはこれで、半年に一度正しい時刻に合わせられるという間接的なメリットもあります。ちなみに筆者の携帯電話は一度電源を切り、また入れなおすと正しい時刻に合います。

街中では意外なほどに皆普通に過ごしていて、例えば「明日から夏時間なので営業時間が変更になります」などと言った看板やポスターなどはほとんど見かけません。当たり前にみんな受け入れているようです。

切り替わりは午前0時なのかと思っていたのですが、それだとまだ活動している人も多いので、混乱を避けるため午前2時になる瞬間を使います。夏時間になるときは午前3時にジャンプし、冬時間になるときには午前1時に逆戻ります。しかも、切り替わりは日曜日の早朝なので、寝過ごしたり早起きしすぎたりという混乱は最小限に抑えられる配慮はされているようです。

それでも、やはりマニュアル作業で時刻の設定が必要になるものはありますから、自分の時計を必ず正確に合わせて、街中や駅の時計などをあてにしないことが肝心です。筆者の勤めている会社はビル全体がタイマーで自動的に施錠されるのですが、これがどうもマニュアル作業で調整されているようで、サマータイム切り替え後に狂ってたりします。

戦争のニュースなどでもそうですが、周囲の情報を100%信用せず、常に自分の中に正しい指針を持つことがいかに重要であるかということが、こんなちょっとしたことから勉強になるのもこの国の不思議な魅力(笑)です。

こんな不便もあるサマータイムですが、日本でも導入に向けて動きがあるのは興味深いものがあります。サマータイム肯定派の意見でよくある、「先進国で導入していないのは日本と韓国くらいだ」というのがありますが、オーストラリアに限って言えば、普段から時間の正確さを気にしない国民性だからこそサマータイムに合っていると思うのは筆者だけではないはずです。言い換えればそれだけ日本や韓国が正確な時刻を大切にする文化を持っているというのと同じことだと思います。

欧米社会に習うことがすべて悪いとは言いませんし、「欧米と同じだと何となくカッコイイ」という気持ちも分からないではありません。でもどんなことに対しても自分の「指針」を持つことが大切ですね。


気になるメリットは?

さて、気になるメリットですが、デイライト・セービングはその名が示す通り、お日様の光をなるべく有効に活用して地球上のエネルギーを節約しようというものです。「オーストラリア政府の発表によると、一夏で節約される照明などの電力使用量は石油に換算して○万ガロンが・・・」というような説明は市民にはほとんど関心がないので筆者の直感でメリットを挙げると、

1.日本本社から『日本時間の今日5時までに、この仕事をお願いします』なんて言われたとき、締め切りが2時間延びたような気がする

2.朝、仕事に集中できる時間帯に日本からの問い合わせが来ない

3.夕方日本から来たメールの返事が遅れたときの言い訳ができる


以上、3点。多くのサマータイム否定派が指摘するように、1日が25時間になるわけではないので、余暇なんて増えません。

海沿いに住んでいるオーストラリア人なんかは、仕事が終わってからビーチでひと泳ぎ、なんてできるかも知れませんが、ワーカホリック(仕事中毒)の日本人には関係のない話です。やはり、周囲の目を気にせず5時になったらスパッと帰路につける欧米社会の考え方なのかもしれません。

実際、混乱するデメリットのほうが大きいとか、農作業に充てる時間が思うようにならないとかの理由でクイーンズランド州や西オーストラリア州では導入されていません。

日本でのサマータイム論議に決着?

2004年、札幌市の商工会議所でサマータイム実験が行われました。インターネット上の報道を見る限りでは、評価はイマイチのようですが、やはりサマータイムは国家レベルで導入しないと混乱をきたすばかりで本来の目的である省エネにはつながらないと考えます。24時間営業の多い日本社会で、お日様の光を節約することがどれほどの省エネにつながるのかは分かりませんが、本当にデイライト(日光)をセーブ(節約)したいのなら、筆者は冬にこそDaylight Savingするべきだと思います。

下の図は、冬至、夏至あたりの日の出、日の入時刻(注※)に一般的なサラリーマンの就業時間(9〜17時)を太枠で示したものです。黄色い部分が太陽が出ている時間帯です。これを見ていただければ、夏に1時間早めるのも良いですが、冬にこそ効果的であるということがお分かりいただけると思います。
いっそのこと、混乱が多いサマータイムなんて忘れて、省資源国の日本は1年中Daylight Savingを導入してしまえば良いのではないでしょうか?そうです、日本の標準時刻そのものを1時間早めてしまうのです。

時計合わせは最初の1回だけで済みますし、今までの生活リズムを崩すことなく国民全員早寝早起き。みんな健康になってまたまた世界の長寿記録を塗り替えることでしょう。おそらく世界初の試みでしょうから、これでさらに省エネが実現できれば今度は欧米諸国がマネをするかもしれませんね。

サマータイム本来の目的である"Daylight Saving" ということに着目すれば、夏であろうが冬であろうが、ただ単にサラリーマンの就業時間帯を1、2時間早めようという議論になるはずなのです。推進派の皆さんがあくまで「サマー(時間)」にこだわるのは、何か別の理由があるのでは?と勘繰りしてしまいます。

『欧米諸国で行われている制度を、日本は混乱するからと言う後ろ向きな理由で導入しないというのはどうも格好がつかない。省エネとか景気刺激とかのもっともらしい理由をつければ世論を説得して導入できるのでは?』と、推進派の方々が思っているかどうかは別として、シドニーでは上述のように、大した混乱もなく皆それを受け入れているようです。

電車が遅れようが、テレビ番組が遅れようが、放送が30秒くらい止まろうが(注*)、もともと時間にうるさくない国民ですからね。


(注※) 日の出、日の入時刻の計算には以下のサイトを参考にしました。また、日本との比較のため、シドニーの夏と冬のデータを入れ替えてあります。
国立天文台ホームページ
Geoscience Australia

(注*)朝の電車はまあまあダイヤ通りに動いています。帰り時間は時刻表を覚えるのがバカバカしくなるくらい遅れやキャンセルが平気で行われます。テレビは夜の番組になると新聞のテレビ欄に書いてある時刻は参考程度にしかなりません。ビデオ録画のタイマーは前後10分くらい余分に撮るように設定しましょう。また放送が20〜30秒くらい止まってしまうことも珍しくありません。もちろん日本のように字幕で謝罪文を流すこともありません。テレビ局や電車の会社で働いている人にとってはリラックスできる職場かもしれませんね。

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